人気リノベアイデアを紹介「アール」を取り入れた暮らし
丸く、やわらかで、ゆるやかな「アール」
SNSのインテリア写真で、ついつい気になってしまいませんか?
アールを取り入れた空間づくりはハコリノベでも人気のアイデア。
出入口や壁、本棚といった、さまざまなかたちでアールが住まいに使われています。
そこで今回は「アール」に注目、アールの効果からリノベ事例までご紹介します。
リノベのアイデア探しにお役立てください。
アールって何?
インテリアの世界では「アール」というと、丸みのある曲線のことを指す言葉です。
このような丸みのある出入口を見たことはありませんか?
△△△このやさしい曲線がアールです
日本の建築やインテリア業界では「R(アール)」=半径や曲線の意味で使われます。
聞き慣れないかもしれませんが、リノベの現場では「R加工」「Rのある天板」「アールのついた壁」といった言葉がよく使われています。
ちなみに、「アール」はRadius(半径)の頭文字「R」からきている和製英語的な使い方なので、英語では曲線の意味で通じない可能性があるのでご注意。
また、「アール」とはフランス語で「芸術(Art)」を意味します。
「アール・ヌーヴォー」「アール・デコ」に代表される曲線美の流れから、インテリアや建築の世界では「アール=曲線」という認識が強いのですが、文脈によっては「芸術」の意味で使われていることもありますよ。
「曲線」を指すだけでなく、その背後には芸術性も含んでいる「アール」について、ここに人気の秘密があるのかもしれません。
「アーチ」と「アール」、実はちょっと違う!?
アールと同じような曲線を表す言葉で「アーチ」を使うことがありますよね。
「アール」と「アーチ」で混同しやすいのですが、意味と使い方に実は少し違いがあります。
■「アール」(R)とは=曲線の加工・丸みのこと
角を丸めたデザインや「Rをつける」と言うように、本来は加工の指示や加工の状態を意味します。
■「アーチ」とは=形の種類・構造の名前
「アーチ開口」「アーチ壁」などアールと同じように使われていることも多いですが、建築やインテリアで使われる「かまぼこ型の構造」や「半円形の開口部」を指します。
また、アーチは構造的な役割を持つこともあり、トンネルの形が代表的な例です。
形を表す「アーチ」と加工を表す「アール」について、リノベの現場では加工指示での「アール」をデザイナーやディレクター、職人さんが口頭や図面で使うこともあり、だんだんとお客さまにも「アール」が広まったのかもしれませんね。
今回は、親しみが広がってきた「アール」で表現を統一してご紹介します。
アールのデザイン効果とは?
目に留まりやすい「アール」について。空間に取り入れることでどんな変化があるのでしょうか?
■直線にはない「やわらかさ」をプラス
壁、床、天井、家具など、家の中は意外と直線だらけです。
だからこそ、その中に一つでも曲線が入るだけで目を引きます。
「角がない」線は、とげがなく、ゆるやかで、肌触りが優しく、痛くない。
そんな感触のイメージから、視覚的にも曲線=やさしい印象につながるのではないでしょうか。
■空間に「動き」と「リズム」をプラス
直線が多い家の中では、ちょっと堅苦しくなりがちです。
そこで、空間にちょっとした遊びの要素や流れを作るのにぴったりなのが「アール」
色や柄を足すよりも主張を抑えつつ、控えめながらも空間に変化をつけるアールは、取り入れやすいアイデアです。
■自然とつながるアールの形を無意識に求めている?!
葉っぱの形や花びら、川の流れなど自然にあるものは曲線がほとんど。
そんな自然と調和する形を、無意識的に求めているのかもしれません。
「可愛らしい」というお声の多いアールですが、その背景には馴染みのある形へ本能的に惹かれている可能性がありますね。
きっちりしすぎず、だらしなくない、そのゆるやかさがちょうど良い「アール」
アールがひとつあるだけで、空間も気分も力みが抜ける、そんな効果が人気の理由なのかもしれません。
アールデザインのレパートリー
「アール」と一口に言っても、インテリアの中ではいろんな場所・形・素材で表現され、組み合わせ方で空間の雰囲気もガラッと変わります。
ここでは代表的なアールの形や使われ方をご紹介します。
■丸みを強調したアール
半円状のような丸みがしっかりとあるアールです。
出入口などに取り入れられることが多く、可愛らしい印象を受けます。
■ゆるやかなアール
角の部分のみを丸く、直線と組み合わせたアールです。
丸みを強調したアールよりも可愛らしさを抑え、クールなインテリアにも相性が良いことから、人気が高まっているデザインです。
■コーナーにアール
天井や壁の角を直角からアール仕上げにもできます。
角がなく、丸くなるだけで、空間が包まれるような印象に。
ちなみにクラシカルな洋館でも、天井と壁の境目をアールでつなぐことは多くみられました。
■小さなアール
角に体をぶつけるなど、家の中には危ないポイントがたくさん。
そこでアールを取り入れることで、安全性を高められます。
棚板やカウンターの角に小さなアールを取り入れると、手や足があたっても痛くない。
角を落とす程度の丸みをつける加工でも充分に効果があり、安心です。
アールを取り入れたリノベ事例紹介
■出入口にある「アール」
こちらのお住まいでは、リビングから洗面所へ、洗面所からベッドルームへと、生活のシーンが切り替わるタイミングにアール開口を取り入れています。
アールをくぐると気分が切り替わり、生活に一呼吸。
こうして出入口にアールが組み合わさることで、空間の移動や気分の切り替えにメリハリが加わります。
ベッドルームへつながるアール開口は、トンネルのように奥行きがあるデザインに。
アールに包まれるような体感があり、空間の切り替えに特別感があります。
このようにアールの奥行きサイズで変化をつけるのも面白いですよ。
アールは奥に見える風景を切り取る「額縁」のような効果もあります。
アール越しに見える様子はお気に入りの景色になり、家にも愛着が増します。
ドアを通り抜けることでは気づかない、アーチをくぐることで住まいの解像度が上がるのかもしれません。
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こちらのお住まいではヌックの開口部にアールを取り入れました。
丸みを抑えたデザインは可愛らしさを抑えられるので、インテリア全体ともバランスを取りやすいです。
また、開口部分を寸法的に大きくとれるところもポイント。
特にヌックやパントリーなど空気がこもりやすい場所には、換気対策として開口部分を大きくとれるアールデザインが効果的です。
さらに、廊下に面したドアのない出入口にもアールデザインを取り入れました。
2ヶ所並んだアール開口でも、丸みを抑えたデザインなので空間がうるさくなりません。
シンプルな空間に少し動きを足したい時は、丸みを抑えたアールがおすすめです。
次に、こちらのお住まいでは独立した洗面台をアールで囲い、おこもり感のあるスペースに仕上げました。
廊下に配置したオープンな洗面スペースの事例も人気がありますが、洗顔時やメイク中では丸見えな様子が気になる場面も。
そういった時でも、このようにアールで少し囲った目隠しがあるだけで安心感が増します。
デザイン性の高さだけでなく、使用感も良いこちらの洗面台は、今なお人気のリノベ事例です。
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■壁にある「アール」
アールは壁に取り入れることも可能。
こちらのお住まいでは、間仕切り壁にアールを取り入れています。
壁の角を取るように、大きく湾曲した壁が特徴。
壁の角がないので文字通り、やさしい仕上がりに。リビングから見ると角を削った分だけスペースが広がり、通路に少しだけ余裕もできました。
アールは平面的だけでなく、このように立体的なデザインでも効果的です。
また、こちらのお住まいでは家のあらゆるところにアールを取り入れました。
目を引くグリーンの壁は、アールを取り入れることでシンボリックな印象に。
よく見るとキッチンカウンターにもアールを取り入れています。
異なる色や素材を使用していても、このように共通のかたちでリンクさせることで統一感のある空間に仕上がります。
さらに窓周りにもアールは充実。空間全体はグレーで無機質なトーンでまとめていますが、アールが加わることで親しみやすさを感じます。
こうした空間全体の印象においてもアールで調整できますよ。
窓を囲う大きなアールと部屋の角にポコっとでている小さなアールもお見逃しなく。
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■天井にある「アール」
こちらのお住まいでは、元々あった大きな梁と柱を包むようにダイナミックなアールを造作しました。
マンションリノベーションでは構造上撤去ができない梁や柱型はつきもので、このように大きな梁がある物件も珍しくはありません。
ですが、こうした一見、欠点に捉えられがちなポイントもアールといったデザインでポジティブに変換することも可能。
象徴的なデザインが加わることで、キッチン・ダイニングとリビングを視覚的にゾーニングする効果をもたらしました。
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こちらのお住まいでも梁をカモフラージュするように大きなアールを取り入れています。
先程のアールとは丸みの大きさが異なるので、受ける印象もまた変わりますよね。
また、大きなアールだけでなく、空間のあちこちにアールを取り入れている点にも注目。
ヌックを囲うアールや、キッチンカウンターにもアールを取り入れてデザインに統一感をだしています。
木材とアールそれぞれが持つやさしい印象が相乗効果となり、空間全体はほっこりと落ち着く雰囲気に仕上がりました。
続いて、こちらのお住まいではキッチンの天井に注目です。
天井の切り替えにアールを取り入れています。こういった使い方もあるのかと、なるほどなアイデアですよね。
キッチンまわりでは、換気扇のダクトを隠す関係等で天井に段差が発生することはよくあること。
こうした際にも直線的な切り替えだけでなく、アールといった曲線でデザインをプラスする選択肢もありますよ。
また、こちらのお住まいではアールと間接照明の組み合わせも見どころです。
アールの曲線が照らされることで立体感が増し、間接照明の明かりも丸く照らされることでやさしい印象がUPします。
互いに引き立たせるアールと間接照明の組み合わせはおすすめです。
さらに、こちらのお住まいでも天井のアールでキッチンとダイニングを切り替えています。
大きなアールでゾーニングされたキッチンはちょっと特別な印象に。
インテリアのシンプルな印象はキープしたまま、大きな動きのあるアールで空間にリズムがでました。
実はリビングの壁にもなだらかなアールが。
静かに大きく動くアールの効果を体感できるデザインです。
■床にある「アール」
床にもアールは取り入れられます。
こちらのお住まいでは、ロフト下にあるベッドスペースとの床の切り替えにアールを取り入れました。
ロフトのデザインとリンクしたアール床で、ゆるやかにゾーニングされています。
ちなみに床材にはアール加工の向き不向きがあります。
事例のようにフロアタイルやカーペットは比較的、アール加工がしやすい素材です。
一方で、フローリングや磁器質タイルは物によってはアール加工が難しい場合もあります。
仕上がりに影響するので床に取り入れるアールは素材選びにご注意です。
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■ここにもある「アール」
空間のシンボルでもあるルーバー。よく見ると実はアール状に配置されています。
こちらのお住まいではリビングからトイレにアクセスする間取りですが、トイレへの動線をアールのルーバーで整理しています。
ルーバーの中は手を洗えるパウダースペースになっており、アール状にルーバーを配置することで、程良く見えない状態を作り出しました。
直線的なルーバーにアールの並びでゆるやかさを加える、対象的な組み合わせが特徴のアールです。
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腰壁のコーナーがよく見るとアールになっているこちらのキッチン。
ラワン材を使用した腰壁でもアールの加工は可能。意外にもアールOKの素材は多いのです。
レトロな建築にアールはよく取り入れられていることからも、クラシックなインテリアとアールは相性抜群です。
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こちらは、本棚のデザインにアールを取り入れています。
こうして造作部分にアールデザインを加えることで、オリジナリティが増しますね。
こちらもクラシカルをテーマにしたお住まいなので、アールが活きるインテリアデザインです。
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さらに、こちらのお住まいでは洗面台本体にアールを取り入れました。
角が気になる部分にアールをつけるだけで、安全性が高まるデザインに。見た目にもやさしい印象に仕上がりました。
家の中には思いのほか「角」はたくさん。住まいの安全という点でもアールの効果は期待できます。
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奥深い「アール」のある暮らし
アールは様々なかたちで空間に取り入れられており、そのデザインの幅広さに改めて気付かされます。
直線が多い空間の中に、ほんの少しの「丸み」を加えるだけで、空間全体の印象はぐっと変わることに。
さらに、素材や場所によって表情を変えるアールは、使い方次第でどんなインテリアテイストにも取り入れられる柔軟性も魅力です。
こうした万能な効果がアール人気の理由として考えられますね。
リノベーションを考える時は間取りや設備、素材や色柄に目が向きがちですが、「形」にも意識を向けてみるのもおすすめです。
悩んだ時は、ちょっとした「丸み」がヒントになるかもしれません。
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